第1話 狂気の人形


セッション7 死闘! ジンガム男爵は二度死ぬ


GM:さて、下に降りていきますと、扉がありますよ。
ウィリアム:盗賊、頼むぞ。
ジェフ:カラコロ……失敗。
一同:盗賊だろー!!
GM:他の人、-20%でやって。
トト:トトさん成功しました!
ジェフ:トトさんがいきなり出てきて、僕のお株を奪っていったという訳か。開けますよ。
GM:扉はギイーときしんだ音を立てて開きましたよ。
レギオス:乗り込む!
ジェフ:気が早い。
GM:さて、その部屋には4つの戸棚とひとつの机があるよ。で、その戸棚の中には何か入っているようだけど。
ウィリアム:「コンコン、入ってますか?」
コレガー:出してあげなさい。
レギオス:見る。
GM:中はね……
ウィリアム:何となく人間のような気がする。
コレガー:ホルマリン漬け?
GM:人間が入っていますね。ひとつの戸棚に5人、いっこだけ4人しか入っていない。
トト:女ばっかりとか?
GM:男も入っていますよ。
ウィリアム:そうか、男色の気もあったのか。
レーン:生きてる?
GM:精霊使いであるキミには、微かながら生命の精霊が働いているのが解る。

 結局この人形(人間)をどうするかで行き詰まった。何せ『癒し』の魔法が全く効果を表さないのである。
 机の中から3本の薬(鑑定の結果2本は『癒し』の薬、1本は『韋駄天』効果のある薬である事が判明)、指輪(『魔剣』の効果を持つ)が見つかった。指輪はジェフが、『韋駄天』の薬はエフが、『癒し』の薬は……まあ誰かが持っているだろう。
 そして鍵のかかった引き出しからは巻物と、封をされた手紙が出てきた。

トト:巻物を開ける。
GM:それは上位古代語で書いてある。が、ウィリアムには苦もなく読める。
ウィリアム:声を出さずに読むぞ。
GM:書いてある内容は『神々の最終戦争』のことだが、キシオムバーグ神は母であるファラリスの尖兵として戦ったが、五大神に返り討ちにあって一個のオーブに閉じこめられた訳よ。で、そのオーブから解放するには人間の魂を捧げるべしと書いてある。
レーン:その黒いオーブって、あの石像にはまってた?
GM:そういうことは『知識ロール』振って。
レーン:成功。
GM:では、はまってなかったよ。
ジェフ:で、手紙の方は?
GM:蝋で封がしてある。
レーン:開いてないの?
ジェフ:勝手に開けていいのかな?
一同:がやがや(開けるか開けまいか話している……と)。
ウィリアム:(いきなり)ビリッ。破りました。
一同:…………
GM:ウィリアムが開けたよ。
エフ:……ま、いいか。で、内容は?
GM:手紙にはこう書かれてある。
「我が偉大なる主君、ラスター公爵様へ。この手紙が貴方様の御許へ着く頃には、すでにこのロードスは焦土と化しているでしょう」
ウィリアム:なってないぞ!
GM:これから送るところなの! ラスター公宛でキミ宛じゃないんだから! 続けるよ。
「我らが崇高なるキシオムバーグ神はもう少しで忌まわしきオーブより解放されこの世に蘇ります。そして貴方様がキシオムバーグ神の力を借り、ロードスの太守となる日ももうすぐでしょう。ラスター様に暗黒神ファラリスの祝福を。公の忠実なる僕、ジンガムより」
これで終わり。
パラス:あいつとことん悪い奴やな。
トト:人の手紙読む方がもっと悪い!
エフ:公安警察もよくやってるからいいの。さて、この部屋にはもう用はないな。
レギオス:まあ、人形が残ってるけど仕方ないか。
エフ:じゃあ二階に行こうか。
ウィリアム:二階へレッツゴーじゃあ!
トト:あのー、出て行ってこの階段調べる。盗賊、調べて。
ジェフ:カラコロ、成功!
GM:(二重線の階段をさして)ここだけやけに足音が軽いや。
エフ:じゃあ、これを開けたらどこかへ続いているということか。
ウィリアム:持ち上げる。
エフ:私も手伝おう。
GM:一人しかできないよ。ウォーリアーに任せよう。『攻撃スキル』以下出して。
エフ:失敗! こ、腰が〜。
パラス:私! ……失敗。
ジェフ:行きます! 成功! 開いたぞ。
コレガー:開けちゃったらもとに戻らないんじゃないの?
GM:それもそうだね。誰もおろせないよ。
トト:なに、階段の中に閉じこめられちゃったの!?
コレガー:これが本当の「しまった!」
GM:ほら、中は廊下が続いていて、突き当たりに扉があるよ(参照)。
ジェフ:鍵ありますか?
GM:そりゃあ、ありますよ。
ジェフ:「待て」 まず罠の有無を調べる……成功。
GM:ないよ。
エフ:そんなことをしていたら一歩もあるけんぞ。
ジェフ:じゃあ『鍵開け』、成功。
GM:さて、扉を開けるとそこからはひんやりとした冷たい空気が流れ出して君たちの頬を湿らせると同時に、得体の知れない”何か”が背筋を凍らせた。
 そこは10m四方ほどの石造りの部屋で、中央には一人の男が黒い神官服を着て、片膝を付いて何かの呪文を唱えているようだ。その男の前には祭壇があり、そこには暗黒よりも黒いオーブが置かれ、全裸のメアさんが横たわっている。そして男の横にいた2体のモンスターが君たちの方に振り向き、その気配を感じたのか黒い神官服の男も振り向いた。
トト:で、その人は?
GM:なんと、その人は……変わった人ですね。
トト:肩にリカちゃんを乗せているとか。
GM:その通り! 君たちの雇い主、ジンガム男爵だ。彼いわく「君たち困るよ。私は外を警護してくれと頼んだんだよ」。
レーン:「いやあ、中の警備もしておいたほうがいいかなって思って」
エフ:「男爵、変わった趣味をお持ちのようですね」
GM:「君たち、何を知ったんだね」 男爵の目が一瞬妖しく光る。
ウィリアム:「『何を知ったか』だと!?」
トト:「あんたの趣味を知った」
GM:「私の人形作りか」
コレガー:「違う、男にも趣味があったこと」
エフ:「えーい、違う! あんたがキシオムバーグ神を復活させようとしていることはお見通しだ!」
パラス:「ちなみにファラリスと組んでいる事も解った! もう許せん!」
GM:「許せないのはこっちの方だ! 人の家の庭を燃やしたくせに!」
パラス:……返す言葉がない。
GM:「ばれたとあっては仕方がない。だが、ちょっと待て。おまえたち、こう考えた事はないか?」
ジェフ:「全くない! 行くぞ!」
一同:(笑)
GM:「いいか、この世界は腐っているのだ。ヴァリスでは”逆玉”エトが即位し、アラニアでは逆臣ノービス伯アスモンが王位に就いた。これを暴力といわず何といおう! 暴力によって支配されるというのならば、真の暴力神キシオムバーグによって支配されるのが当然だとは思わんか!?」
エフ:「あんたが何を考えようと勝手だが、あんたの考えを押しつけられるのは問題だねぇ」
レーン:「そーだ、そーだ」
トト:「全ては五大神が治めるのです。ファラリスには闇に帰ってもらいましょう」
レーン:「神によって支配される世界なんかまっぴらでーい! オレは神なんて大嫌いだ!」
レギオス:「問答無用!」 突撃じゃあ!
GM:(既に暴走しているなあ)「その混沌ぶり気に入ったぁ! 私の手下にならんか? 手下になればロードスの一つや二つくれてやるぞ」
ウィリアム:「勧誘するなら、ちゃんとロードスを征服してから言いなさい! 偉そうな事言うんじゃない!!」
一同:ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ!!
GM:おい!!
一同:ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ!!
GM:ブチッ! どわぁ〜! 堪忍袋の尾は切れるためにある!! 「貴様等、生きて帰れるとは思うなよ! 『彷徨いし邪悪なる魂よ。我が召還に答え我が前にその忌まわしき姿を現せ』」 男爵の呼び出しに答えてレイスが2体、壁をすり抜けてやってきたぜ。

 ということで、肝心の戦闘状況ですが、数を頼りにするPCに対し、敵はジンガム男爵&レイス2体&グール2体という少数精鋭方針です。さて、どうなることやら?

エフ:イニシアティブは取った!
GM:じゃあ1R(ラウンド)。まず魔法から。
ウィリアム:レイスを先に『鎮魂』しなさい。
ジェフ:指輪を使い『魔剣』をレギオスへ。
ウィリアム:『沈黙の間』をかける。
トト:叩く。
一同:はぁ?
トト:だってー。
エフ:アンデットモンスターの時はまず『ターン』(ターンアンデット=鎮魂)しなさい。
トト:じゃあ、トトさん『ターン』します。
GM:それじゃあ抵抗しましょう(ふっふっふ、レイスは抵抗値が高いのさ。げ、99!?)。…レイスBは地に帰っていった。
ジェフ:皆さん、レイスは魔法のかかった武器か魔法じゃないと効かないよ。
GM:パラスの『鎮魂』には抵抗成功。ウィリアムの『沈黙の間』にも抵抗成功。じゃあ、次は近接戦だね。

 『魔剣』がかかったレギオスは男爵に移動攻撃! これは惜しくも失敗、コレガーはアンデットは苦手だといって部屋の外にトンズラ。エフは『魔剣』がかかるまでパリィ(防御態勢)をとりました。

GM:全員行動は終わったね。じゃ、こっちの攻撃。グールA、レイスAはレギオスに攻撃。命中、ダメージ10発あげよう。で、ジンガムがチャカに『精神破壊』、抵抗して。
チャカ:成功! やばい、やばい。
GM:でも、この魔法は抵抗に成功しても半分はダメージがくるんだよ。ほら、7発いったぜ。
チャカ:ああ、0になった。スタン(昏倒)してしまった。

 さて3RにグールAが、そして更に5RにグールBがやられてしまう。だが、ジンガム男爵だって負けてはいない。同Rに『病』がウィリアムにかけられ抵抗失敗、彼は戦線を離脱しました。これは大きな痛手でしょう。
 続いて8R、勢いに乗って男爵の『魔傷』の呪文がエフに飛ぶ! エフは抵抗に成功したものの、この魔法も抵抗成功であってもダメージが半分くるため、あと3しかHPの残っていなかった彼にちょうど3のダメージが! エフは気絶してしまいました。
 さらに9R、レイスBの爪がレギオスを切り裂く! エフに続いてレギオスも倒れました。しかし、司祭ペアが倒れた二人に『癒し』の魔法! 二人は再び立ち上がり、戦線復帰します。
 そして12R、怒りに燃えるエフのバスタードソードが唸りをあげてジンガム男爵の首を吹っ飛ばしました! しかし……

GM:カラーンと乾いた音を立てて、男爵の首が転がった。が、その首からは血が一滴も出ていない。肩のリカちゃんも転がったよ。そして首のない男爵の身体は、執拗にエフに攻撃を続ける。
ジェフ:なんじゃこりゃ?
パラス:よし、リカちゃん取りに行く!
GM:じゃあ『盗賊スキル』。成功? じゃ、捕まってしまった。だが、その目は愛くるしい人形のそれとは違い、狂気の光が宿っている。「ええい、離せ! 下賤な蛮族め!」と人形が言っている。魔法抵抗してちょ。
パラス:成功!
GM:それでも精神点5発減らして。
パラス:あー、気絶した。
GM:パラスの手を離れ人形は空中に浮かんでいわく、「貴様等のような下賤なものにキシオムバーグ神復活は妨げはさせんぞ。この女が最後の一人だ!」
ジェフ:「おぬし、乗り移って言っている訳か?」
GM:違うな。いわゆる『魂封じ』。カーラのサークレットみたいなものさ。
ジェフ:あー、ずるい。
レーン:『鬼火』でオーブを取りに……、いや、破壊しにいく!
トト:ちょっと待ってよ。オーブを壊したら出てくるんじゃない?(だったら最初から壊してますよ)
レーン:いや、だから祭壇からオーブをどかしたら少しは効果が……行け、『鬼火』!
GM:んじゃ、オーブは割れこそしないが祭壇から落ちた。そして全裸の少女メアが目を覚ます。「わ、私はどうしてここに?」
コレガー:リカちゃんに突撃!
ギオス:残りのレイスに攻撃だ!
エフ:それじゃ、リカちゃんに攻撃。成功、16発。
GM:げげっ! 耐久力はないんだよな〜。ありゃ、首がふっとんだ。すると切断された首から黒いもやが現れ、怒りの顔を作った。「お、おのれ〜覚えておれ。この仇、我が主君ラスター公が取ってくれようぞ!」と言うと、断末魔の叫びをあげて男爵はその存在を失った。また、男爵の本当の人形も青い炎をあげて、やがて一握りの灰燼に帰した。
ジェフ:「覚えていられるか! バカタレー!」

 この後、最後まで残っていたレイスをたこ殴りにし、メアさんはエフ、コレガー、レギオス、ウィリアムからマントを差し出され、結局RPGらしくダイスの振り合いにより、彼女はコレガーのマントを選びました。『漁夫の利』という諺は彼のために存在するのではないでしょうか。
 そして、人形と化していた人たちも男爵の死と同時に魂が元の身体に戻りました。更に、難関跳ね上げ階段は、上にあった邪神の石像が崩れていてその隙間からはい出す事が出来ました。
 こうして全員無事脱出した後、屋敷は男爵の野望と捜すのを忘れた財宝と共に、轟音をたてて崩れ去ったのでありました。

GM:さてエンディングだ。君たちと別れを惜しみ、握手を交わしてるのはディラン君だ。「ありがとう、君たちのおかげでこの街は救われたよ」
レーン:いやいや、大したことはしてますよ。
ウィリアム:礼にはおよびますよ。
エフ:しかし、このオーブはどうしたものだろう?
GM:それについては、この街のファリスの司祭いわく、「そのような危険なものは、ヴァリスの首都ロイドにあるファリス神殿に引き取ってもらうとよいじゃろう。ほい、これが紹介状じゃ」
エフ:それではヴァリスに行くとしますか。
一同:おー!
GM:というきりの良いところで、ちょうどお時間です。さて、新たなる陰謀の渦に飛び込んでいくPCたちの行く手には一体何が待ち受けているのか!?
 次回をお楽しみ!

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