〜その1:気になる症状を手軽にチェック!〜
皆さんは「ドライマウス(口腔乾燥症)」という言葉を聞いたことがありますか。 これはお口が乾燥した状態を呼び、さまざまな症状が発生します。 最近は新聞や雑誌等に取り上げられるようになりましたが、果たして自分はドライマウスなのかを知る手がかりは少ないようですね。 そこで、今回は気になる症状からドライマウスの可能性をチェックしていただけるよう、トピックスにしました。 さらに、2回に分けてドライマウスの原因やその治療法などをご紹介いたします。お口を潤す唾液の素晴らしさも含めて、ぜひ一度自分のお口の中を意識するきっかけにしてください。 |
お口の乾燥症状チェック |
これから以下にあげる9つのお口の乾燥症状について、当てはまる項目の数をチェックしてください。 ◇口が乾く、カラカラする(唾液が出ない) ◇口が乾いて話しにくい、あるいはネバネバして話しにくい、会話が長く続けられない ◇食事のときに飲み物が必要である、クラッカーなど乾いた食べ物を飲み込みにくい ◇夜間、起きて水を飲む ◇舌がひび割れる、口の中が痛む、口角炎ができる ◇味覚が変わった、味がよくわからない ◇耳下腺(耳の前下方)が痛む、繰り返し腫れる ◇口臭が気になる ◇むし歯がたくさんある、または急に増えた。あるいは入れ歯が何度調節しても合わない、粘膜が痛い 以上のうち、3項目以上に当てはまる方は、ドライマウスの可能性大!ここから先の内容は必見です。 それ以外の方は、今のところお口は十分潤っていると考えられます。 ご家族の方や、身近にいらっしゃる方にもチェックしてみてくださいね。 |
ドライマウスとは? |
ドライマウスとは、何らかの原因によって唾液が出にくくなったりお口の中が乾燥して、様々な症状を生じることをいいます。 ドライマウスの主症状であるお口の乾燥感について、10〜90歳までの男女1400名余りを調べた研究によると、「常に乾燥している」あるいは「ときどき・少し乾燥している」と答えた方は全体の42%もいると報告されています(柿木ら、2001年)。 年齢が高くなるとお口の乾燥感を自覚する方が増加し、他人には計り知れない違和感、不快感を自覚するようです。 その症状は、上記のチェックリスト以外に全身の健康にまで及ぶといわれています(老人では誤嚥性肺炎など)。 ではなぜドライマウスが起こるのでしょう。大きく分けて次のような原因が考えられています。 |
【ドライマウスはなぜ起こる?】 口腔内に原因があるもの |
1.口呼吸 :習慣的に口で呼吸する癖があると、口腔内が乾燥しやすい。特に鼻炎やアデノイドの人に見られる。 2.咀嚼回数の不足 :噛む回数が少ないと、唾液腺が萎縮し唾液が減少する。 例えば幼児期にあまり噛まない食生活を続けると唾液腺は十分に発達せず、結果的に唾液の分泌が少なくなる。 また、高齢者で軟食、流動食をとっている場合も唾液の減少を招きやすい。 3.嗜好品の過剰摂取 :ニコチン(タバコ)やカフェイン(コーヒー・紅茶・緑茶)は利尿作用をもつため、多量に摂取すると一時的な脱水を起こし、唾液分泌が減少する。 4.水分量の不足 :成人では一日あたり体重の1/20の水分摂取が必要とされている(例えば体重50キロの人では2.5リットル)。食事などで自然にとれるのは約1.5リットルなので、残りを食間に水分として補給する必要がある。 5.微量元素の摂取不足 :微量元素のうち、特に亜鉛の不足は口腔乾燥症の症状を助長するといわれる。 亜鉛が含まれている食品(海藻や豆類、ごま、アーモンド、カキなど)の摂取不足、あるいは亜鉛の吸収を妨げる食品添加物や加工品の多量摂取、薬物の服用によって起こる。 6.ハミガキ剤の過剰使用 :多くのハミガキ剤にはラウリル硫酸ナトリウムが含まれており、粘膜を刺激したり障害したりするため、乾燥した粘膜の炎症をおこしやすいといわれる。 |
全身の健康状態に原因があるもの |
1.シェーグレン症候群 :唾液腺や涙腺などが障害を受ける、原因不明の全身性自己免疫疾患。 30〜60歳の女性に好発する。症状としてはドライマウスとドライアイがあり、その他にも全身に様々な病変を呈することがある。 2.シェーグレン症候群以外の唾液腺の病気 :唾液を分泌する主な唾液腺(耳下腺、顎下腺など)の病気によって、唾液が減少して口腔内の乾燥を招く。 3.ホルモン・代謝系の異常 :糖尿病や尿崩症、甲状腺機能異常どの場合、口腔内の乾燥症状を併発しやすい。 4.体内の水分量の減少 :発熱、下痢、嘔吐、過剰な発汗、出血などで体内の水分量減少や電解質の異常がおこると、身体が水分を出さないように働くため、結果的に唾液が減少する。 5.放射線による障害 :ガンの治療等で放射線療法が行われると、唾液腺が障害を受けて唾液が減少しやすい。 6.神経性の要因 :頭頚部のケガや手術で唾液腺に関わる神経が障害されたとき、その支配領域での唾液が減少することがある。また、ストレス、精神的緊張、神経症などで自律神経系に影響を受け、口腔乾燥を強く感じることがある。とくにうつ病患者では口腔乾燥が起こりやすく、重症になりやすいといわれる。 7.加齢による唾液分泌量の減少 :唾液腺のうち、口蓋腺は加齢により分泌量が減少するといわれ、口腔内全体の唾液量が正常でも口腔乾燥感(口渇)の訴えが増える原因ではないかと考えられている。 |
薬物の副作用によるもの |
口腔乾燥を引き起こす可能性のある薬物は、これまでに多数報告されている。 中でも頻度が高いのは、利尿剤や降圧剤、抗うつ薬、抗不安薬、抗パーキンソン薬などが挙げられる。 また、服用する薬物の種類が多いほど、また期間が長いほど口腔乾燥症が生じやすく重症になりやすいとされている。 ずいぶん難しくなってしまいましたが、要はこんなにも様々な原因でドライマウスが生じるということです。 症状をはっきりと自覚している方は、おそらくいずれかの原因があてはまることでしょう。そうでない方も、特に口腔内の原因による部分は自分が気をつけることである程度避けられますので、ドライマウス予防のために頭の隅に記憶しておくとよいかもしれません。 次回のトピックスでは、ドライマウスになるとどんな症状が発生するのかを唾液の素晴らしさとともにお話し、その症状を緩和するための効果的な方法についてご紹介する予定です。 |
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