正しい投球フォーム



ワインドアップ期:一番はじめの段階で、振りかぶって足を上げるまで。

コックアップ期:振りかぶった後、テークバックし前足が地面に着くまで。

加速期:テークバックの後トップからボールをリリースするまで。

フォロースルー期:ボールリリース後から動作終了まで。



A〜Cを見ていただくとわかると思いますが、正しいのはAのフォームになります。

ではBはなにがまずいのか。
ボールの高さはAとあまり変わりませんが、体の軸が起きすぎているせいで肘が必要以上に曲がっています。
こうなってしまうと外反ストレス(肘を外側に反らすような強い力)が余計にかかってしまいます。

そしてさらにCは肘が肩の高さ(黄色の線)よりも下がってしまっています。
これで投球すると、いわゆる手投げの状態となり外反ストレスが余計にかかります。

投球フォームがなんであれ、肩の高さよりも肘を下げないことを心掛けてください。

間違えたフォームは肩や肘に負担をかけてしまいます!



野球肘

野球肘とは、投球動作の過度な反復によって肘関節に生じる疼痛性障害です。
発育途中では骨端や骨軟骨の障害が起こりやすく、骨の成長が完了してからは関節軟骨や筋腱の付着部に障害が起こりやすくなっています。

内側型

加速期に肘に外反ストレスが加わり、さらにその後のボールリリースからフォロースルー期には手首を反らした状態からスナップをきかせ、前腕を内側にねじるようにする為、屈筋(手や指を手のひら側に曲げる筋肉)・回内筋(前腕を内側に捻る筋肉)の付着部である上腕骨内側上顆(肘の内側にある骨性の隆起)に強い牽引力がかかります。
この動作の繰り返しにより、内側側副靭帯損傷、回内筋・屈筋群筋膜炎、内側上顆骨端核障害などが起こることがあります。

外側型

加速期における外反ストレスによって、腕橈関節と呼ばれる肘関節の外側に圧迫力が加わり、さらにフォロースルー期で関節面に捻りの力も加わります。
この動作の繰り返しにより、上腕骨小頭離断性骨軟骨炎、橈骨頭障害などが起こることがあります。

後方型

加速期における外反ストレスと減速期からフォロースルー期にいたる肘関節伸展強制によって、肘頭は肘頭窩に衝突するようなストレスを受けます。
この動作の繰り返しにより、肘頭疲労骨折や骨棘形成などが起こることがあります。


治療法

当院では、電気療法や鍼灸療法とともにストレッチ・トレーニング指導も併せて行います
安静にすることはもちろん必要ですが、それとともにストレッチ・筋力トレーニングが重要になります。
また投球数の制限も必要です。年齢にあった投球数を心掛けましょう。