
「創価教育」の大舞台は、いよいよ「世界」です――2000年5月に行われた「創価教育同窓の集い」で呼び掛ける池田先生(東京・八王子市の創大池田記念講堂で)
●2000年5月 創価教育同窓の集い
〈創価大学が初の卒業生を輩出してから25年となる2000年5月5日、同大学で「創価教育同窓の集い」が開かれた。席上、創立者の池田先生に対し、モンゴル文学大学(当時)から「名誉学長」の称号が贈られた。池田先生はスピーチの中で、詩情豊かなモンゴルの言葉を紹介しつつ、母校に集った同窓生を心から歓迎した〉
草原のモンゴルは「詩心の大国」であります。
貴国で最も有名な国民詩人ナツァグドルジは、謳っています。
「人間の精神は自由なものだ! これを迫害し、束縛することは断じて許せぬ」と。
これが大詩人の「確信の叫び」であります。
また、モンゴルの「ことわざ」は、大変にわかりやすく、真理をついたものが多い。いくつかを紹介させていただきます。
「ひとりでいる虎よりも、集まって枝にとまっているカササギの方が強い」と。
どんなに力を持っていても、一人だけでは偉大なことは成し得ない。大切なのは団結です。
同じく「一本の木だけでは、燃料にならない。一人の人間だけでは、家にならない」と。
力を合わせることです。自分勝手に一人よがりで生きるのは、みじめであり、敗北の人生となってしまう。堂々と人間の中で、語り合い、ぶつかり合い、励まし合い、切磋琢磨し合ってこそ成長するのです。それが人間です。
さらに、こうも言われています。
「一日で知り合いになり、千日の友情を続ける」
「甘えを学ぶより困難を学べ」
「もので身を飾るより、学問で身を飾れ」
「真剣に努力し続けるならば、運命はあなたに味方する」と。
仏法の英知にも通じる人生の哲学が光っています。
さらに、いわく。
「徳の高い人は何十万年も長生きする」
「干ばつのときに春のすばらしさを知り、困難にあったときに真の友情を知る」
「苦難に陥ったときに、友の真価がわかる」
「苦労を味わったことのある人は、『幸福とは何か』を知っている」と。
どれも、有名な貴国のことわざです。
貴モンゴル文学大学のある女子学生は、愛するお父さんの言葉をこう詩に詠んでおります。
「ふるさとの石を、大切に持って行きたまえ! そうすれば、いずこにあっても、ふるさとの山や河が、汝を尊敬し、汝を見守るであろう!」と。美しい心の言葉であります。
私は、ドイツの印象派の詩人・フライシュレンの詩の一節を諸君に捧げたい。
「心に太陽を持て、
あらしが吹こうが、雪が降ろうが、
空は雲に閉ざされ、
地上は争いに満たされようが!
心に太陽を持て、
そうすれば、なんでも来るがよい!
どんなに暗い日でも、
あふれる光で明るく照らされる!」(高橋健二編『ドイツの名詩名句鑑賞』郁文堂)
偉大なる創価同窓の皆さん!
全国各地から、そして海外からも、はるばると、ようこそ母校に帰ってきてくださいました。本当に私はうれしい。
私の創立した学舎に集ってくださった皆さまです。今や、世界中で活躍しておられます。
私は、教育の大切さを、しみじみと感じます。創立者として、本当に幸福です。

同窓の集いの席上、池田先生にモンゴル文学大学から「名誉学長」の称号が贈られた。先生は“この栄誉を、全同窓生と共に分かち合わせていただきます”と(同)
勝つための人生
〈続いて池田先生は、モンゴル文学大学ツェンドアヨーシ学長(当時)が書いた小説に触れ、力強くエールを送った〉
学長が執筆された有名な小説があります。
それは、一人の賢い英雄が、モンゴルの大自然の脅威や戦争の危機など、あらゆる試練に勇敢に立ち向かう。そして、生き生きと「智慧」を発揮して、すべてを朗らかに打開しながら、人々を救い、平和に貢献していくという、まことに痛快きわまりないドラマであります。
貴国の箴言には、「希望があれば窮しない」――絶対に行き詰まらない、「力があれば屈しない」――絶対に負けない、とあります。
いかなる圧迫があろうとも、それ以上に、自分が希望を燃え上がらせ、自分が力をつけ、自分が強くなればよい。その人が真実の勝利者であります。
私も40年間、この「師子王の心」で戦い、勝ってきました。
あらゆる迫害も、陰険な策謀も、すべて打ち破り、堂々と乗り越えてきました。
私は「師子」です。皆さんも「師子」であっていただきたい。
わが創価同窓の諸君も、私に続いて、一人ももれなく、今世のそれぞれの立場の大闘争を、断じて勝ちぬいていっていただきたい。負ければ悲惨です。負ければ哀れです。
「勝つための人生」であり、「勝つための学問」であり、「勝つための信仰」なのです。皆さん全員が、一人も残らず、「私は勝った!」と言える人生であっていただきたい。
私の母もまた、ニッコリと微笑んで、「私の人生は勝ったよ」と。それが最期の言葉でありました。
人生の最終章が、どうかで、人生の勝敗は決まる。ゆえに諸君は、「創価同窓生として、私は勝った!」と言い切れる尊き一生を送っていただきたいのであります。

馬の群れがモンゴルの大草原を疾駆する
平和を守る連帯を
〈池田先生は、来賓として出席した詩人のドルマー氏の詩を紹介。同窓の友に向け、苦難を恐れず進みゆこうと呼び掛けた〉
(ドルマー)先生の有名な詩である「青き惑星」には、こう謳われております。
「わが花の惑星よ!
君(=地球)は
生きとし生けるものを繋ぐ
命の血脈なり(中略)
戦禍によって
この宝石を
蹂躙させてなるものか!
この世界は
賢者たちこそが
守っていくことができる」
まことに壮麗な「平和の讃歌」であります。
私たちは、先生方とともに、美しい地球を守りゆく、この「賢者のネットワーク」を、雄大に広げていきたいのであります。
私はかつて、フランスの文豪、アンドレ・マルロー氏と対談し、ご自宅にも伺いました。対談は一冊の本(『人間革命と人間の条件』)になりました。
氏の言葉に「精神のもつあらゆる価値の中でもっとも実り多きものは、一体感と勇気です」(ピエール・ガラント『アンドレ・マルロー』斎藤正直訳、早川書房)とあります。
また、ルネサンスの巨人、ダ・ヴィンチの名言には「大きな障害にぶつかればぶつかるほど強さをます」(『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』下、杉浦明平訳、岩波文庫)と。
次元は異なりますが、日蓮大聖人も、御自身を迫害しぬいた平左衛門尉らを「善知識」と、とらえておられた。障害が大きければ大きいほど、強くなる――私も、そのように生きてきました。
諸君も生涯、そうであっていただきたい。
さらに、古代ローマの哲人皇帝、マルクス・アウレリウスは言いました。
「人生は戦いであり、旅のやどりであり、死後の名声は忘却にすぎない。しからば我々を導きうるものはなんであろうか。一つ、ただ一つ、哲学である」(マルクス・アウレーリウス『自省録』神谷美恵子訳、岩波文庫)
偉大な人間は、地位や名声ではなく、「人間にとっての本当の価値」を探究する。
そして、この「哲学」の究極が、偉大な仏法なのであります。
創価同窓、万歳!
バヤルララー! バヤルララー! バヤルララー!(モンゴル語で「ありがとうございました」)
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