
全ての努力は一生の宝に! 創価女子短期大学を訪れ、「学問と人生と幸福」について語る池田先生(2002年10月1日)
中国の「人民の母」と慕われた鄧穎超さんは、日中戦争のさなか、中国の女子学生に対して、こう叫びました。
「皆さんこそ『夜明けの鐘』であります。皆さんこそ『黎明の旭日』であります」(金鳳『鄧穎超伝』上、人民出版社<中国語版>)
鄧穎超さんの、この声が、どれほど、女子学生たちを勇気づけたことでしょう。声が大切です。とくに女性の声は、人々を元気づけ、明るく、にぎやかにしていく力をもっています。
鄧穎超さんは、十代のころから、勇んで革命の嵐のなかに飛び込んでいかれた。前も敵、後ろも敵。いつ逮捕されるか、わからない。いつ殺されるかも、わからない。そういう青春時代だったのであります。
そこで、私が皆さんに申し上げたいのは、「苦労を避け、やすきに流されるような青春時代であってはならない」ということです。皆さんは、みずから求めて、苦労をしていってください。そして、同じ苦労をするならば、「大きな理想」のために苦労してもらいたいのです。
自分の小さな殻に閉じこもるのではなく、「友のため」「社会のため」そして「人類のため」という大いなる理想を掲げて、学んでいってもらいたい。
そこに学問をする本当の意義もあるのです。また、目的が大きければ、それだけ自分も大きく成長できる。困難や障害にあったときにも、歯をくいしばって乗り越えていけるものです。
さらに、鄧穎超さんは、女子学生に訴えました。
「皆さんが光明をもたらすことを、苦しんでいる姉妹たちは、ひたすら待っているのです!」(同)
私もまた、「創価女子短期大学生の皆さんの成長を、後に続きゆく二十一世紀の姉妹たちが待っている」と強く訴えたいのです。
まずは、皆さんの身近なところから、ともに平和の方向へ、幸福の方向へと進みゆく、宝の学問と友情を大きく広げていってください。

池田先生が、中国・北京で鄧穎超氏と再会(1980年4月)。語らいは8度に及び、先生ご夫妻は、周恩来総理の思い出が刻まれた北京の自宅も2度訪れている
6項目の指針
<ここで池田先生は、短大生への指針として、鄧穎超氏が若き女性に教えた“6項目のリーダーのあり方”を紹介。使命深き一人一人の成長を心から望んだ>
鄧穎超さんは、若き女性に対して、リーダーのあり方を六項目にわたって教えました。(『鄧穎超文集』人民出版社<中国語版>)
第一に「革命の理想を守りぬいてください」と言われました。
理想があるから青春です。理想があるから人生です。理想のない人は、寂しい。反対に、生涯、わが理想を求めて生きる人は、どんなに年をとっていても、心は永遠に青年です。
第二に「勇敢であってください」。人生の勝利の根本は、勇敢です。勇気です。とくに、女性は、男性以上に勇敢であっていただきたい。女性が勇敢であってこそ、「社会の平和」も「家庭の平和」も守られるのです。
また世界には、女性の大統領も、女性の学長もたくさんいます。私も多くの女性リーダーと語り合ってきましたが、どの方も、勇気の力で、わが道を切り開いた方々でした。
第三に「責任と真剣を忘れないでください」。責任感のある人は真剣です。真剣の人は強いです。真剣というのは、すごい魅力なんです。
第四に「忍耐と持続の人であってください」。勉強も忍耐です。スポーツも忍耐です。家の手伝いをするのも忍耐です。忍耐と持続によって得たものだけが、自身の不滅の宝となって輝くのです。
第五に「誠実と謙虚の人であってください」。
誠実といっても、たんなる「従順」とはちがいます。皆さんにとっては、一生懸命に勉強することが、誠実です。それが、教員に対する誠実であり、支えてくれるご両親に対する誠実です。
また謙虚といっても、「遠慮する」とか「自分は一歩引いて」というのではありません。学校では、学生として、真剣に生きる。家庭では、娘として、正直に生きる。また、結婚すれば、妻として、立派に生きる。自分が今いる、その場所で、その立場で、周囲と協調しながら、一生懸命に生きていく。それが謙虚です。
第六に、自分自身の幸福のため、栄光の人生を勝ち取るため、「たゆまぬ研鑽を続けてください」と叫ばれました。人生は、生涯、研鑽です。勉強です。
最後に、鄧穎超さんが十九歳で発表した詩を紹介して終わりたい。(一九二四年の「婦女日報」の創刊号に掲載)
題名は「実践の灯」。
「私たちは、実践の灯を掲げ、みずからの前途を照らし、一歩また一歩と前進するのだ」
「実践の灯を掲げる私たちは、わが紅の熱き血潮をもって、一滴また一滴とみずからの前途の道を染めていくのだ」(前掲『鄧穎超伝』上)
人生は、実践です。戦いです。前進です。二度とない青春時代です。だからこそ、自分が生きた証しとして、何かを残してください。何かを創り出してください。
|