親孝行こそ人生勝利の道 2020-02-22

2010年3月卒業式

創価大学(第36回)、創価女子短期大学(第24回)の卒業式でスピーチする池田先生(2010年3月、創価大学池田記念講堂で)

<2010年3月21日に挙行された創価大学(第36回)、創価女子短期大学(第24回)の卒業式(八王子市の創大池田記念講堂で)。創立者の池田先生はスピーチの中で「親孝行」の大切さを強調した>

皆さんは、まず、ご両親に丁寧におじぎをして、心から感謝の言葉を伝えていただきたい。
親元から離れて生活している人は、電話でもいいから、真心を込めて、「お父さん、お母さんのおかげで、卒業することができました」と連絡を入れてほしい。
なかには、お父さんがいらっしゃらない人、お母さんがいらっしゃらない人もいると思います。その人も、わが胸中の父母に、「立派に卒業しました」と誇り高く報告していただきたい。

創価大学、創価女子短期大学で学び育った人は、必ず幸福になっていく。強い人、正義の人、偉い人、勝利の人になっていく。
私は、そう祈っています。皆さんを見守っています。
これからも努力して、必ず立派になり、社会で成功して、一家の繁栄の力となってください。お世話になった両親や祖父母の皆さん方に、心から喜んでいただける親孝行の人になってください。

成績が優秀なことは、もちろん大事である。
そのうえで、皆さんは、どこまでも楽しく、愉快に、そして強く生きてもらいたい。どんなに優秀でも、人と衝突して、相手を困らせたり、自分や親をも苦しめてしまう生き方は、愚かである。
上手に家族や友人と調和して、仲良く楽しく、成長の道を歩んでいく。その人が勝利の人である。

この卒業式の席上、中国・西安交通大学から池田先生に「名誉教授」の証書が授与された(同)

<席上、中国・西安交通大学から池田先生に「名誉教授」称号が贈られている。先生は、この最高の栄誉を先師・牧口先生、恩師・戸田先生に捧げたいと謝意を述べつつ、西安交通大学にある記念碑に刻まれた「4文字の言葉」を紹介した>

それは「飲水思源」。すなわち「水を飲む時には、その源を思い、感謝を忘れない」との戒めであります。
常に「源」を思い、「原点」に立ち返る。そして、「恩ある人」に報いようと、さらに努力し、前進する。この最も深く強い心が流れ通う人材の大河こそ、偉大なる貴大学なのであります。

私が瞬時も忘れず、常に思いを馳せる「源」は、創価教育の父である牧口先生であり、人生の師匠である戸田先生です。

師匠に報恩の報告ができる喜びが、どれほど大きいか。皆さんもお父さん、お母さんに感謝し、恩返しできるような人生を、青春時代を生き抜いてください。
とともに、日本にとって、絶対に忘れてはならぬ、文化大恩の「源」こそ、中国であることを深く知っていただきたい。
かつて日本は、この大恩ある国を侵略した。愚かな軍国主義の日本でした。
牧口先生、戸田先生は、教育によってこの日本を改革しようとした。牧口先生は逮捕され、獄死された。戸田先生も投獄された。
私も冤罪で牢獄に行きました。悪逆の国家権力は、必ず善人を嫌い、弾圧しようとする。
それではいけない。本当の人間主義、本当の勝利は庶民の連帯にある。
真の学問を身につけた人間にある。こういう社会をつくりたい。それが牧口先生、戸田先生、そして私の思いです。

感謝を言葉で!
<続いて先生は、親孝行の具体例を示しながら、創立者としての真情を語った>

ともかく、お父さん、お母さんを明るくしてあげる。ホッとさせてあげることだ。例えば、たまにはお母さんに、「お掃除とご飯の支度は私がやりますので、あとはゆっくりしてください」と言う。感謝の気持ちを伝える。そうすれば、お母さんが、どれほど喜ぶか。親を悲しませてはいけない。嘆かせるようなことがあってはいけない。

皆さん方のお父さんや、お母さんは、厳しい経済不況の中、大切な大切な宝のわが子を、私の創立した大学に送り出してくださいました。親にとって、自分の子どもは宝です。どんな小さなことだって心配する。私はよく知っています。特に母親はそうです。
しかし、子どもは親の気持ちがなかなかわからない。親の心がわかる人が、本当の教育を受けた人です。私は、皆さんのお父さん、お母さんのご健康、一家のご繁栄、そして栄光の人生を、妻と一緒に毎朝、毎晩、祈っています。創立者として、当然のことだと思っています。
どうか、この最高の父母の慈愛に、皆さんは最高の真心の親孝行で応えてください!

それができれば、自分にとって、家族にとって、こんなにうれしい、幸せな、安心の人生はない。
反対に、親を苦しませれば、不幸をつくりだしてしまう。それではいけない。
本当の人間を育てるのが創価大学です。

価値ある人生だ。一度しかない人生だ。
「本当によかった」「楽しかった」「私は成し遂げた」と言える一人一人であってください。
お父さん、お母さんを頼みます。そして、「社会をよくしよう」「不幸の人を幸せにしよう」――こう思って戦ってください。生き抜いてください。
一人だけ満足し、あとは皆、不満ばかり。それでは不幸だ。自分だけでなく、皆の境涯も開き、幸福の道を開く。これが本当の「創価」です。

創価教育の父・牧口常三郎先生の筆による「創價大學」の文字が刻まれた石碑

勇気ある人に
<さらに、池田先生は、西安交通大学の足跡に学ぶべき精神として「勇気」を挙げた。そして「親孝行」も、「人間としての正義」であり、「勇気」が必要であると訴えた>

貴・西安交通大学は1956年(昭和31年)、西安へ移られました。
それは、厳しい環境のなか、西部地域の開発を推進するという、重大な挑戦でした。その貴大学を励ましたのが、周恩来総理でありました。
「あまりに快適すぎては、青年を鍛え育てることはできません。風雪に耐えられるよう、鍛えあげねばならないのです。苦難を乗り越えるよう青年を導くには、(西安交通大学の立つ中国西北部は)願ってもない場所です」
周総理は確信を持ち、希望に燃えながら、語っておられた。青年を信じ、青年を心から愛し、期待しておられた。
私も周総理と語り合いました。たくさんの思い出があります。
この崇高なる貴大学の足跡に学ぶべき精神は、あまりにも多い。なかでも学ぶべきは、人々の幸福のため、一番大変な最前線へ飛び込む「勇気」であります。要領がいい。頭もいい。策も上手。しかし、“正義を貫く勇気”が欠落していれば、それは根本的な欠陥となってしまう。

「学ぶ」こと自体、正しい道である。だからこそ、学び抜くためには勇気がいる。親孝行も、人間としての正義です。だから勇気がいるのです。

「勇気」は「正義」につながる。「勇気ある人」「正義の人」として、人生を歩んでいかなければならない。

「自分自身に勝ってみせる!」という心意気です。
これこそ、大事な人生の一点であると思います。

父も母も、自分自身も、晴れやかに楽しく「私は勝った」「親孝行ができた」と言える人になってください! 人生において勇気を忘れてはいけない。小手先のずるさで生きてはいけない。何度でも申し上げておきます。