欧州編 2020年09月11日
One Europe with Sensei!―
―欧州は一つ、先生と共に!


師弟の誓願を胸に、麗しき連帯で世界広布の先駆を走る欧州青年部の友(2018年8月、イタリア・ミラノで)

「久遠の使命」の自覚が大歓喜に

<1961年(昭和36年)10月、山本伸一はイギリス・ロンドンへ。イギリス広布に孤軍奮闘するシズコ・グラントを激励する>

「人間は自分の使命がわからず、何をすべきかを自覚できなければ、寂しくもなれば、孤独にもなるものです。

あなたは、このイギリスの広宣流布の開拓という使命をもって、ここに来ているんです。仏法の眼から見れば、決して偶然ということはありません。

御書をひもとけば、私たちは、過去世において、日蓮大聖人とともに地涌の菩薩として、末法の広宣流布をする約束をして、そのために現在、こうして出現してきたことが明確に示されています。

つまり、あなたは仏弟子として、大聖人から派遣されて、このイギリスにやって来たのです。

その久遠の使命を自覚し、果たそうとしていくところから、大歓喜が生まれ、新たな人生の扉が開かれていきます」

人間の精神を支えるものは使命である。自分はなんのために生きるのか――仏法は、その使命という、人生の最高の意義を教える。

ゆえに、仏法は、生き抜く力、勇気の明かりとなり、自己の世界を希望の光で包むのだ。(中略)

「イギリスには、日本から来た四、五人のメンバーがいると聞いています。まず、その方たちとしっかり連絡を取り、励まし合っていってください。

また、たくさん友人をつくって、ともに幸せになるために、仏法を教えていくことです。

人のために尽くすことは自らの生命を浄化し、自身の境涯を開いていきます。あなたの活躍を、私は期待していますよ」
(第5巻「開道」の章、59~60ページ)

広布誓願の祈りに無量の功徳が

<75年(同50年)5月、フランス・パリを訪れた伸一は、メンバーである画家の長谷部彰太郞の家を訪問する>

長谷部は、前年、来日した折に、フランスに家を買うべきかどうか、山本伸一に相談した。(中略)

「私は、あなたが家を買うことに賛成です。フランス社会で信用を勝ち得ていくには、フランスに家を持ち、地域に根を張り、信頼を獲得していくことが大事だからです。

それには、断じてフランスに家を購入するぞと決めて、真剣に祈ることです。しかし、ただ家がほしいというだけでは、祈りは、なかなか叶わないかもしれませんよ」

長谷部は、意外な顔をしながら尋ねた。

「何か、祈り方があるんでしょうか」

「あります。フランスの人びとの幸福と繁栄のために、広宣流布を誓願し、祈り抜いていくことです。たとえば、“私はフランス広布に生き抜きます。それには、社会の信用を勝ち取るためにも、皆が集える会場にするためにも、家が必要です。どうか、大きなすばらしい家を授けてください”と祈るんです。

人びとに絶対的幸福の道を教える広宣流布を誓い、願う題目は、仏の題目であり、地涌の菩薩の題目です。その祈りを捧げていく時、わが生命の仏界が開かれ、大宇宙をも動かしていける境涯になる。ゆえに、家を購入したいという願いも、確実に叶っていくんです。

それに対して、ただ大きくて立派な家をくださいというだけの祈りでは、自分の境涯はなかなか開けない。だから、願いが成就するのにも時間がかかります。

祈りの根本は、どこまでも広宣流布であり、広布のためにという一念から発する唱題に、無量無辺の功徳があるんです」

広宣流布の誓願のなかにこそ、所願満足の道があるのだ。
(第21巻「共鳴音」の章、289~291ページ)

学会の組織は「皆の幸福」が目的

<81年(同56年)5月、伸一はドイツのフランクフルト会館で同志と懇談。学会の組織はなぜ必要かを語った>

「ともすれば、個人の自由と組織とは相反するように感じる人もいるかもしれない。しかし、国家でも、会社でも、また、いかなる団体でも、その目的を果たしていくためには、組織は不可欠です。同様に創価学会にあっても、皆が信・行・学を実践し、広宣流布を進めていく手段として、組織はなくてはならないものといえます。

今、皆さんが、こうして信仰することができたのも、組織があっての結果です。(中略)

信心を貫くには、大勢の人びととスクラムを組み、勇気ある人生を歩み抜けるよう励まし合い、退転を戒め合い、正道へ向かうよう守り合うことが大切です。そう考えるならば、組織というものが、いかに重要であるか、よくおわかりいただけると思う。

ただし、組織は手段であり、個々人の信心の向上を促し、幸福になっていくための指導こそが、その出発点であることを忘れてはならない。あくまでも学会の組織の目的は、一人ひとりのメンバーの絶対的幸福であり、成仏にあります。組織での役職も上下の関係を意味するものではありません。幹部は、いわば団結の要となる存在といえます。

ゆえに、メンバーは互いに尊敬し合い、共に社会の一員として理解、信頼し、励まし合いながら、人生を勝ち飾っていただきたい」

学会は、人びとの幸福と人類の平和、すなわち広宣流布を実現する唯一無二の団体である。したがって戸田城聖は、「戸田の命より大切な学会の組織」と言明したのである。
(第30巻<上>「暁鐘」の章、354~356ページ)

結婚には共通の人生基盤が大切

<81年6月、伸一はイタリア・ミラノで青年の代表と信心懇談会を開催し、結婚観について述べる>

伸一は、イタリアは青年のメンバーが多く、その両親などから、結婚観についても、ぜひ語ってほしいとの要請があったことを踏まえ、この問題に言及していった。

「結婚は、自分の意思が最重要であるのは言うまでもないが、若いということは、人生経験も乏しく、未熟な面もあることは否定できない。ゆえに、両親や身近な先輩のアドバイスを受け、周囲の方々から祝福されて結婚することが大切であると申し上げたい。

また、結婚すれば、生涯、苦楽を共にしていくことになる。人生にはいかなる宿命があり、試練が待ち受けているか、わからない。それを二人で乗り越えていくには、互いの愛情はもとより、思想、哲学、なかんずく信仰という人生の基盤の上に、一つの共通の目的をもって進んでいくことが重要になる。

二人が共に信心をしている場合は、切磋琢磨し、信心、人格を磨き合う関係を築いていただきたい。もし、恋愛することで組織から遠ざかり、信心の歓喜も失われ、向上、成長もなくなってしまえば、自分が不幸です」

人生の荒波を越えゆく力の源泉こそ、仏法である。崩れざる幸福を築く道は、学会活動の最前線にこそある。広布のために流す汗は、珠玉の福運となり、その一歩一歩の歩みが、宿命を転換し、幸と歓喜の人生行路を開いていく――ゆえに伸一は、信仰の炎を、絶対に消してはならないと訴えたのである。
(第30巻<上>「暁鐘」の章、403~404ページ)