未来部編 2020年07月24日
未来は君たちのもの! きょうも挑戦の一歩を!

未来部員を激励する池田先生(1995年8月、長野研修道場で)

今回は、「未来部ドリームチャレンジ期間」(8月31日まで)の応援企画として、「未来部」編を掲載する。

“対等な人格”として接する

1964年(昭和39年)6月、江東区での男子高等部の結成式に出席した山本伸一は、会合終了後、担当幹部の在り方について語る

「高等部は未来の広布を考えると、極めて重要な部になります。本来、私が一人ひとりのメンバーを育んでいきたいが、とても、そこまではできない。

だから、皆さんのお力をお借りしたい。私に代わって、メンバーを励ましていただきたい」(中略)

一人の担当幹部が尋ねた。

「高等部や中等部の指導にあたって、最も強調すべきことはなんでしょうか」

伸一は、即座に答えた。

「あくまで勉学第一であり、学問に励むようにすることです。当然、根本は信心です。(中略)

また、大勢の先輩、よき相談相手が周囲にいれば、安心して自分の人生行路を決めていくことができる。若芽が未来に、スクスクと伸びゆくための応援をしていくことが、高等部、中等部の結成の趣旨です」(中略)

「豊かな心を培い、また、人間としての生き方の骨格をつくっていくのが信仰です。だから、若いうちから、信心をすることが大事になる。

人間として大成するために、信仰の『種』、信念の『種』、哲学の『種』を植えていくんです。そして、将来の社会の指導者を、学会の指導者を育てていくことが、担当者の皆さんの使命です」(中略)

「高等部といえば、もう大人です。昔なら、元服を終えている。したがって、担当者としては、どこまでも対等な人格として、若き同志として接していくことです。同じ人間として、人格の触発を行っていくことが、本当の指導です」
(第9巻「鳳雛」の章、118~120ページ)

自分に勝つ人が本当の勇者

<70年(同45年)6月、伸一は箱根の研修所で高・中等部、少年・少女部の代表と懇談し、激励する>

「民衆を守り、幸福にするために、みんな、しっかり勉強してほしい。私は、このなかから、大文学者や大科学者、大記者、また、偉大な政治家も、どんどん出てもらいたいんだ。全員が、何かの道で、最高のものをめざしてください。羊千匹より、獅子一匹だ!

それには努力です。天才とは何か。人より十倍、百倍、努力した人のことです。

また、人生の勝負は何歳か。いろいろな考え方ができるが、一つの目標として、私は五十歳だと思っています。その時に、人間の真価が決まるといってよい。

人生というのは、“絶対にこうしよう”“こうなっていこう”と心を定め、真剣に頑張り抜いていけば、必ず、自分が納得できる結果が得られるものです。大切なのは、毎日毎日の精進です。どんなに辛く苦しくとも、負けないで、懸命に努力を重ねることです。それが人生の根っこをつくることになる。

根が深くなければ、大木には育たない。二十代、三十代で、有名になったとしても、人生の本当の価値とはならないことが多い。むしろ、それによって人生の真実の価値がわからなくなり、幻惑されてしまうこともある」(中略)

伸一は、子どもたち一人ひとりに視線を注ぎながら言った。

「私は、みんなが五十歳になった時に、どんな人生を歩んでいるか、じっと見ていきたい。

みんな、頑張れるね」

「はい!」(中略)

だが、彼は、あえて厳しい口調で言った。

「返事は簡単です。実際にそうなるかどうかが問題だ。それには、自分に厳しく挑戦し抜いていくことです。人は、みんな自分の弱さに敗れていく。自分に勝つ人が、本当の勇者なんです」
(第14巻「大河」の章、322~324ページ)

一人一人に光り輝く才能が

箱根の研修所での語らいでは、男子中等部員が、“頭がよいとはどういうことか”と伸一に尋ねる

「いい質問だね。かつて戸田先生が、紙に筆で一本の線を引き、そのすぐ上と下を指さしながら、こうおっしゃったことがある。

――『頭がいいとか、悪いとか言ったって、所詮、この程度の差だ。違いなんてほとんどない』

人には誰でも、得意、不得意はあるし、実は皆、なんらかの天才になる力をもっているものなんだ。だから、総合的に見れば、人間の能力なんて、そんなに変わるものではない。(中略)

これから花火をやりますが、一流の花火師もいる。花を育てるのが上手な人もいる。人を思いやる能力もあれば、人を笑わせる能力もある。絵や文の才能がある人もいれば、野球がうまい人もいる。また、頭がよいといっても、記憶力や理解力だけが能力ではない。探究する能力や独創性に優れた人もいる。(中略)

これまで成績が悪かった人がいたとしても、『自分は頭が悪い』なんて思うのは間違いです」(中略)

「ある人が『頭がいい人というのは常に疑問をもっている人である』と語っていたが、私もそうだと思う。一つ一つの事柄を、ただ鵜呑みにするのではなく、『どうしてそうなるのだろう』『本当にそうなのだろうか』『もっとほかに方法はないのか』と考える人です。(中略)

その探究心が大切なんです。

人には、皆、個性がある。全く同じ顔の人がいないように、もっている能力もさまざまです。だから、互いに尊敬し合いながら、師子の子らしく、自分の決めた道で、一流をめざしていってもらいたい」
(第14巻「大河」の章、324~326ページ)

信仰貫き心に平和の砦を!

さらに、女子中等部員が、“将来、世界平和に貢献していくために、今するべきことは”と、伸一に質問する

「まず、世界の平和を生涯のわが使命と決め、信心を貫いていくことです。人類の平和実現の根本的な道は、生命の尊厳を説き明かした仏法にしかないからです。だから今は、しっかり信心に励み、教学も学んで、仏法への確信を深めていくことが必要です。

また、理想を実現していくためには、健康であることが大事です。したがって、体を鍛え、頑健にしておくことです。(中略)

そして、勉強です。実際に平和貢献する場合、なんらかの専門的な知識や技能が求められる。今は、その基礎となる勉強を、しっかりしておかなければならない。特に、語学は欠かせません。平和は対話から始まるからです。語学ができなければ、世界の人たちと、コミュニケーションが図れない。

あとは、人格を磨いていくことです。お母さんや友だちと喧嘩したりしないで、誰からも信頼される人になっていってください。
口で平和を唱えても、周りの人と喧嘩ばかりしているようでは、まやかしの平和主義者です。平和といっても、身近なことから始まります。まず、自分自身のなかにある、人に対する偏見や差別、また、わがままな心と戦い、勝たねばならない。同時に、慈悲、つまり人びとの幸福を願い、行動する強い心を培い、自らの人間性を高めていくことです。

戦争を起こすのは人間です。だから、その人間の生命を変え、人間の心のなかに平和の砦を築かなければならない。それが人間革命であり、その源泉が題目です。
この人間革命の思想と実践の道を世界に伝えていくことこそ、人類の平和を建設する根本なんです」
(第14巻「大河」の章、327~328ページ)