創立の精神
23年10月31日
一切の矢面に立つ それが誉れの道
いよいよ「創立の月」を迎えます。創価学会の創立記念日であり、初代会長・牧口先生の殉教の日である「11月18日」。今回の連載「希望の指針――池田先生の指導に学ぶ」では、「11・18」の意義と精神について、珠玉の指導・激励を紹介します。

21世紀最初の「創価学会創立記念日」を祝賀する本部幹部会。池田先生は、「きょうの集いを、創立の崇高な師弟であられた、牧口、戸田両先生の肖像が、微笑み、見守っておられる」と語り、同志の奮闘をたたえた(2001年11月12日、東京戸田記念講堂で)

「先生、私がやりましょう」
創価学会の創立の日となった、一九三〇年(昭和五年)の十一月十八日は、『創価教育学体系』の発行日である。思えば、この発刊自体が、師弟共戦の産物であった。(中略)
牧口常三郎の教育学説の発刊の難題は、いかに原稿を整理し、まとめるかであった。
牧口の場合、原稿といっても、校長職の激務のなかで、封筒や広告の裏、不用になった紙などに、思いつくままに、書き留めてきたものが、ほとんどである。二度、三度と、同じ内容も出てくる。それを順序立てて構成し、文章を整理しなければ、とうてい本にはならない。
だが、その労作業を買って出る人などいなかった。牧口も悩んでいた。
「先生、私がやりましょう」
その時に、名乗りをあげたのも、戸田城聖であった。(中略)
切れ切れの牧口の原稿の、重複する箇所はハサミで切って除き、自宅の八畳間いっぱいに並べてみた。すると、そこには、一貫した論旨と、卓越した学説の光彩があった。
戸田は、牧口への報恩感謝の思いで、この編纂の労作業を、自らに課したのである。
そして、一九三〇年(昭和五年)十一月十八日、『創価教育学体系』第一巻が、「発行所 創価教育学会」の名で世に出るのだ。
表紙の題字と牧口の著者名は、金文字で飾られていた。ここにも戸田の、弟子としての真心が込められていた。
『創価教育学体系』第一巻の「緒言」(序文)に、牧口常三郎は、この発刊にあたって、青年たちが、原稿の整理や印刷の校正に尽力してくれたことに触れ、なかでも、戸田城聖の多大な功績について記している。(小説『新・人間革命』第23巻「敢闘」の章、297ページ)

時とともに増していく重み
この「11・18」学会創立の日は、もはや、一団体の記念日の枠にはおさまらない時代となったわけである。
この日、一九三〇年(昭和五年)十一月十八日は、牧口先生と戸田先生の師弟によって、歴史に刻印された「創価」(価値創造)の記念すべき“第一歩”であった。
そしてそれは、日本の教育史はいうまでもなく、思想史、精神史、さらには民衆史を画する大きな意義をはらんでいたのである。やがてその重みは、時とともにさらにさらに増大していくにちがいない。(『池田大作全集』第71巻、581ページ)

人生の精髄は「師弟」にあり
創価学会の永遠の原点は牧口先生、戸田先生の「師弟」のご精神である。
今日、このような未曽有の大発展のなか、晴れやかに創立の記念日を祝せるのも、その根幹はすべて、嵐の中を、牧口先生が厳として立ち上がられたからである。戸田先生が、炎のごとく“獅子の心”を燃やして、立ち上がられたからである。そして「師弟」の精神で、第三代の私も立ち上がった。
この三代までの厳然たる「師弟の道」によって、今日の完璧な発展ができあがった。万代の土台を築いた。
ここに学会の魂がある。“創立の精神”がある。真実の地涌の勇者、学会っ子であるならば、この人生の「師弟」という精髄を自覚されたい。
(『池田大作全集』第69巻、458ページ)

「難」こそが成長の発条に
学会にも、これまで数々の大難があった。そのとき決然と一人立って、道を拓いてきたのは牧口先生、戸田先生であった。私もまた、一切の矢面に立って、苦闘の連続であった。それが牧口先生、戸田先生に貫かれた“創立の精神”であり、学会精神につらなる道なのである。
これからは、後継の青年部が、その誉れの道を歩みつづける番である。そのために私は、多くの青年、多くの後輩をなんとか本物の指導者に育てたいと念願し、力をつくしてきた。
青年たちの訓練、成長のために、私はあえて難のあったことを喜んでいた。「難」こそ、もっとも信心を鍛え、成長の発条となる。私一人では指導できる青年の数にも限りがある。だが学会全体に競う難は、多くの青年の信心を鍛え、育ててくれる。難と戦い、乗り越えていくなかに、真実の信仰の勇者がつくられていくことを忘れてはならない。(『池田大作全集』第69巻、452ページ)

“功徳をうけきってほしい”
昭和三十年(一九五五年)十二月――逝去の二年あまり前、戸田先生は、本部幹部会で、こう指導された。
「功徳をうけきった生活をさせてみたい。全世界にむかって、どうだ、この姿は、といわせてもらいたい」、また「一人として功徳をうけない者はない、みな功徳をうけているという、私は御本尊様との闘争をいたします」と。
戸田先生の晩年の戦い――それは、「全学会員を、そして全民衆を一人も残さず幸せにしてみせる」という烈々たる大闘争であった。
ここに「学会精神」がある。「創立の魂」がある。(『池田大作全集』第81巻、338ページ)

新しい歴史を“創る月”に!
「創立の月」とは、新しい歴史を“創る月”である。
正義の師子が猛然と“一人立つ月”でもある。
単なる過去を回顧する節目ではない。「創立の月」は、古い年表のなかに眠っているものでは決してない。
広宣流布とは、瞬時の停滞も許されぬ、絶えざる創造と、戦闘の前進の歩みである。
「創立の月」は、つねに「今この時」にある。今の瞬間、瞬間を勝ち取ってこそ、次の五十年、百年にわたって崩れぬ、常勝の学会が「創立」されていくからだ!
この十一月に、自分自身の新しい歴史を塗り替えていくのだ! 古い殻を破り、生まれ変わる月だ! 限界の壁を叩き割り、雄々しく一人立ち上がる月なのだ!
(『池田大作全集』第134巻、354ページ)