「人間革命」の証明の劇 ①
2020年05月01日

来る5月3日は「創価学会の日」であり、池田先生の第3代会長就任から60周年の佳節である。本紙ではこれを記念し、本日付から5回にわたり、「『人間革命』の証明の劇」と題して特集を掲載。戸田先生との師弟の原点をはじめ、池田先生の文化・教育など各分野における人類貢献の業績、世界からの称賛の声を紹介する。ヨーロッパ科学芸術アカデミーのウンガー会長は“池田SGI会長は人類の未来を開く平和の指導者”と。特集の第1回は、先生の「平和の建設者」としての功績に焦点を当てる。

Ⅰ「師弟の原点」
平和実現への遺訓「原水爆禁止宣言」 核兵器の奥の“爪”をもぎ取れ

横浜で歴史的な「原水爆禁止宣言」を発表する戸田先生(1957年9月8日)

60年にわたる池田先生の平和行動――その原動力は、若き日に戸田先生から受けた薫陶と、恩師から受け継いだ平和思想にある。

第2次世界大戦中、軍部政府の弾圧に屈せず、2年間の獄中闘争を貫いた恩師。戦後の焼け野原に一人立ったその胸には、仏法の生命尊厳の哲理を根本に、断じて平和と民衆の幸福を実現するのだとの誓いが燃えていた。

19歳で戸田先生に師事した池田先生は、恩師の思想と精神の全てを、その命に刻み付けていった。

なかでも戸田先生が“遺訓の第一”として若き弟子に託した「原水爆禁止宣言」は、池田先生が核兵器の廃絶を目指し、多彩な活動を展開する重要な原点となった。

米ソ両陣営による冷戦が激化し、世界各地で核実験が繰り返されていたさなかの1957年9月8日。青年部の東日本体育大会「若人の祭典」(横浜・三ツ沢の陸上競技場)で、戸田先生は訴えた。

「核あるいは原子爆弾の実験禁止運動が、今、世界に起こっているが、私は、その奥に隠されているところの爪をもぎ取りたいと思う」

仏法者としての透徹した眼から、核軍拡や原水爆の使用を正当化する思想を、人間生命の奥底に潜む魔性であると喝破。人類の生存の権利を脅かす核兵器を「魔ものであり、サタンであり、怪物」と厳しく断罪したのである。

横浜・三ツ沢の陸上競技場で開かれた「若人の祭典」に出席した戸田先生と池田先生(1957年9月8日)

また、戸田先生は52年に「地球民族主義」の理念を提唱。人類は地球を故郷とする一つの民族である、との思想を示した。

そして約10年にわたる「戸田大学」で、池田先生に万般の学問の個人教授が続けられた。“将来、世界の指導者と語り合えるだけの力を鍛えておくからな”――師が心血を注いだ薫陶を力に、池田先生は各国の識者と対話を重ね、世界的な平和運動のうねりを起こしていくのである。

Ⅱ「建設と飛翔」
市民の意識啓発を推進――不戦へ各国で展示を開催

東西冷戦の中、ソ連(当時)のモスクワで行われた“核の脅威展”。開幕式には池田先生が出席した(1987年5月)

恒久平和の実現へ、池田先生のリーダーシップのもと、SGIは市民の意識変革に向けた多様な平和活動を展開してきた。

東西冷戦下の1982年に行われた第2回国連軍縮特別総会に寄せて、先生は平和提言を発表。SGIは同年、「核兵器――現代世界の脅威」展をアメリカ・ニューヨークの国連本部で開催した。以来、約6年間で16カ国25都市を巡回した。

冷戦の終結を経て、核兵器の拡散など新たな脅威が高まる中、96年には「核兵器――人類への脅威」展を開始。各国間の不信の打破に向け、対話による信頼醸成などを訴えた。同展は中南米8カ国で実施され、50万人が観賞した。

デクエヤル国連事務総長(左から2人目)も訪れた、国連本部での“核の脅威展”(82年6月、米ニューヨークで)

「原水爆禁止宣言」発表から50周年となった2007年には、「人間の安全保障」の視点から核兵器の問題を根本的に問い直すよう訴える「核兵器廃絶への挑戦」展をスタート。230都市以上で開催され、反響を呼んできた。

さらに、12年には国際NGO「ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)」と共同で「核兵器なき世界への連帯」展を作成。これまで21カ国90都市以上で開かれている。

また、人権教育では「現代世界の人権」展(1993年)や「変革の一歩」展(2017年)、環境問題では「変革の種子」展(02年)や「希望の種子」展(10年)などを通して、生命尊厳と持続可能な地球社会の建設を広く呼び掛けている。

カナダ・モントリオール大学での「現代世界の人権」展(93年9月)。同展は8カ国40都市を巡回し、反響を呼んだ
地球的問題群の解決へ 研究機関を各地に設立



戸田記念国際平和研究所の現所長・クレメンツ博士㊥、初代所長・テヘラニアン博士と会見(96年7月、都内で)

人類が直面する地球的問題群の解決に向けた具体的な方途を探究するべく、池田先生は学術・研究機関を設立し、人類の“英知の連帯”を広げてきた。

仏法の人間主義、生命尊厳の思想を世界に展開し、異なる宗教や文明を結ぶための機関として、1962年に「東洋哲学研究所(当時・東洋学術研究所)」を設立。93年には、アメリカに拠点を置く平和研究機関として「池田国際対話センター(当時・ボストン21世紀センター)」が発足している。
東洋哲学研究所などが開催した「法華経とシルクロード」展を観賞する池田先生(98年11月、都内で)

さらに96年には、戸田先生が提唱した地球民族主義や原水爆禁止宣言の理念をもとに「戸田記念国際平和研究所」を創立した。

これらの機関では、各国の研究所や学術者と協力しながら、シンポジウムや研究会議などを活発に開催している。

アメリカの池田国際対話センターが主催したフォーラム(昨年10月、マサチューセッツ州ケンブリッジ市で)

あらゆる差異を超え「対話の力」で人間を結ぶ

中国の周恩来総理との一期一会の語らい。総理の強い希望で実現した(1974年12月、北京で)

池田先生は第3代会長就任以来、イデオロギーや宗教、そして国家や民族などの差異を超え、「対話」の力で世界の人々を結び、平和への道を切り開いてきた。「人間」を信じ抜き、勇気の行動を貫いた60年だった。

1968年に日中国交正常化を提言。東西冷戦と中ソ対立のさなかにあった74年から75年にかけては中国、ソ連、アメリカを相次いで訪問。コスイギン首相、周恩来総理、キッシンジャー国務長官ら各国首脳と胸襟を開いて語り合い、分断の“谷”に“平和の橋”を架けていった。

モスクワのクレムリンで、ソ連のコスイギン首相と再会を喜び合う(75年5月)


アメリカの元国務長官・キッシンジャー博士を東京・信濃町で歓迎(88年7月、旧聖教新聞本社で)。

博士とは8度語らいを重ね、対談集も発刊している
74年9月のコスイギン首相との会見では、“ソ連は中国を攻撃するつもりはない”との言葉を引き出し、同年12月の訪中の際に中国の首脳に伝えるなど、両国の緊張緩和に大きな貢献を果たした。

当時、共産圏の国々を訪問することに反対する人々もいた。しかし先生は、「そこに人間がいるから」との信念で果敢に行動を続けた。

96年にはキューバへ。アメリカと緊張関係にあった同国のフィデル・カストロ国家評議会議長と会見。「核兵器は絶対に無用」との意見で一致をみた。

キューバのカストロ議長と1時間半にわたり会見。議長は「創価学会の皆さんは、平和のための活動に精魂を傾けておられますね。だから尊敬します」と(96年6月、ハバナで)

また先生は、イギリスの歴史学者トインビー博士をはじめ、キリスト教やイスラム教など、異なる宗教的背景を持つ学識者とも語らいを重ねてきた。その成果は、幾多の対談集に結実している。

さらに南アフリカのマンデラ大統領、アメリカ公民権運動の母パークス氏ら、平和と人道の闘士とも友誼を結んできた。こうした世界の指導者・識者との対話は、1600回を超える。

「不信」を「信頼」に。「分断」を「結合」に。そして「善の連帯」の拡大を――池田先生が重ねてきた対話の波動は今、大きな平和のうねりとなって地球に広がる。

アパルトヘイト(人種隔離政策)の撤廃へ、1万日の獄中闘争を勝ち越え、南アフリカの大統領を務めたマンデラ氏と固い握手を(90年10月、旧本社で)

1983年から「SGIの日」記念提言を毎年発表

池田先生の「SGIの日」記念提言。英語、中国語、スペイン語などに翻訳されている
1983年以来、池田先生は毎年、1月26日に「SGIの日」記念提言を発表してきた。本年で38回を数える。

提言では、世界の喫緊の課題について仏法の人間主義に根差した哲学的考察を行い、問題の本質に鋭く迫るとともに、解決への方途や国際的な取り組みについて具体的な提案をしている。これまで取り上げたテーマは核兵器廃絶や軍縮をはじめ人権、防災、気候変動、民族紛争、難民の問題など多岐にわたる。

提言は諸言語に翻訳されており、海外のメディアでも紹介されているほか、世界の識者や指導者から賛同の声が寄せられている。

また、提言についてのセミナーやシンポジウムも各国で活発に開かれており、「平和の世紀」を築くための指標として、国際社会に大きな影響を与えている。

Ⅲ「世界が称賛」
パグウォッシュ会議 スワミナサン元会長 「非暴力の価値を宣揚する闘士」

池田博士は、対話を信じています。そして、対立ではなく和解を信じています。何より、博士自身が慈悲、智慧、勇気を体現されています。

ガンジー、キング、そして池田博士は、非暴力という共通の価値を宣揚する闘士です。非暴力は弱さではなく、強さの象徴であり、勇気であります。歴史を見れば明らかなように、暴力では何も成し遂げられないのです。

戸田第2代会長の遺志を受け継いだ博士は、核兵器の全廃を訴え続け、持続可能な社会を築いていくためには、核兵器の廃絶が最重要課題の一つであると述べられています。

博士の平和提言は、非常に重要な意義を担っていると確信するとともに、全人類が提言の深い意義について知らねばなりません。
(2013年9月、インドのセミナーでの講演から)
フィリピン最高裁判所 ダビデ元長官 「社会のため無私の精神で行動」

池田博士は、仏教の悟りと智慧を持ち、それを人類の繁栄のために、無私の精神で、全ての人と分かち合ってくださっている、天からの類いまれな贈り物です。

核戦争の脅威は、いまだ深刻な問題です。私たちは、日本が核廃絶の運動の先頭に立っていること、そして池田博士が長年にわたり、核廃絶を訴え、戦われてきたことを忘れてはなりません。

勇敢で心強き人、未来のビジョンを持つ人、人間主義の人、啓発の文化の中で育った人、そして、平和と真実と正義を愛し、掲げる人のみが、人類と世界を救うことができるのです。

牧口常三郎先生、戸田城聖先生、池田博士の精神こそが、皆さんを導く光です。池田博士を“私たちの歩みを照らす灯火”としていきましょう。
(15年3月、創価大学卒業式での祝辞から)