Ⅲ部 第10回 2020年10月29日
師弟で開いた「青年育成」の大道⑤

〈出席者〉志賀青年部長、西方男子部長、大串女子部長、樺澤学生部長、林女子学生部長

団結固く師子奮迅の闘争を
◆志賀 2007年(平成19年)9月から、池田先生のご提案により、本部幹部会と同じ意義を持つ最重要行事として「広布第2幕 全国青年部幹部会」が毎月開催されるようになりました。まさに、21世紀の広布新時代の道を開いていただいた思いです。

◇原田 その前月の全国最高協議会の折、先生は、戸田先生が青年を懸命に育ててこられたことに触れられ、その恩師への報恩の心で、先生ご自身も青年部を育んでこられたことを述懐されました。
「その意義も込めて、きょうは、男子部、女子部、学生部の諸君に、新たに青年部独自の幹部会を行うことを提案したい」と呼び掛けられ、9月から青年部幹部会が開始されることになりました。そこから、新たな勝利のリズムをつくってくださったのです。

2007年9月の「広布第2幕 第1回全国青年部幹部会」でスピーチする池田先生(八王子市の東京牧口記念会館で)

◆西方 先生はこの時、五つの指針を贈ってくださいました。
①「破邪顕正」の青年部幹部会
②「広宣流布」の青年部幹部会
③「師弟不二」の青年部幹部会
④「全員指導者」への青年部幹部会
⑤「日本の柱」の青年部幹部会

◇原田 指針の第一が、「破邪顕正」というところに、私は深い意味があると思います。当時、先生が強く訴えられていたのが、まさに「魔との戦い」でした。
この時のスピーチで先生は、苦境にあった戸田先生を命懸けで守り抜かれた青年時代の闘争を、改めて教えてくださいました。また、1979年(昭和54年)の第1次宗門事件について触れられ、「この歴史の教訓を、青年部は、断じて忘れてはならない。繰り返してはならない。“大難と戦う師匠”を守るのが弟子である」と訴えられました。
さらに、戸田先生の「極悪を世に知らしめて、責めて、責めて、責め抜け! 最後まで!」との言葉を引用され、「青年は強気でいけ! そして断じて勝て! 青年の勇気が新たな勝利の道を開くのである」と、悪を責め抜く闘魂を打ち込まれました。
民衆を見下し、苦しめる権力の魔性とは、断固、戦う。師匠を、断じて守り抜く。このことは、青年部だけでなく、全池田門下の弟子が、永遠に生命に刻む誓いであるべきだと思います。

要人10人よりも青年一人が大切
◆大串 先生の五つの指針を受け、第1回青年部幹部会では、青年部が「広布第2幕 創価学会青年部宣言」(5箇条)を発表しました。青年幹は2009年7月まで開催され、同年10月からは「創立80周年記念 全国青年部幹部会」と名称が変更されます。

◇原田 先生は当時、本幹と青年幹の両方に、毎月のように出席してくださり、青年に全てを託す思いでスピーチを続けてくださいました。
その一方で先生は、折あるごとに青年部の代表に直接、声を掛けられ、渾身の激励をしてくださいました。
学生部の代表のメンバーには、「しっかり勉強して、偉くなりなさい」「直系の弟子だから」等と激励され、時には記念撮影をしてくださったこともありました。
周囲の幹部に対しては、「とにかく青年と語る以外にないから」「要人10人よりも青年一人だ」「戸田先生が47歳。私が19歳。二人でつくった創価学会だ」等と大事なご指導をしてくださいました。
青年への限りない期待と信頼は、計り知れません。
池田門下が広布の全責任を担う時代
◆樺澤 先生は2010年6月の本部幹部会以降、広宣流布の使命と責任を全面的に後継の弟子に託されます。

◇原田 その本部幹部会の前夜、池田先生から大変に大切なご指導がありました。
「明日の本部幹部会については、弟子の君たちが、団結して、しっかりやりなさい。皆が、創価学会のすべての責任を担って戦う時が来ているのである。学会の将来にとって、今が一番大事な時である。ゆえに、私を頼るのではなく、君たちが全責任をもって、やる時代である。私は、これからも君たちを見守っているから、安心して、総力を挙げて広宣流布を推進しなさい」と。
先生のご真情を伺い、身の引き締まる思いでいっぱいになりました。
「弟子が団結をする」
「弟子が全責任を担う」
「弟子が師匠に頼らない」
この3点こそ、池田先生が教えてくださった、学会の将来にとって一番大事な弟子の根本姿勢です。

オンライン空間で一堂に会した世界青年部総会。世界の青年が広布後継の誓いを新たに(9月27日)

◆志賀 先生の深きご慈愛に、決意を新たにします。先生にご安心いただけるよう、青年部が団結して、どこまでも先生のご指導のままに生き抜き、全ての勝利の原動力になってまいります。

◇原田 かつて先生は、「広宣流布のために、弟子が一致団結できるかどうか。師匠の教えのままに、生き抜けるかどうか。ここに未来の一切がかかっているのである」とご指導くださいました。
先生は、常に戸田先生の弟子として勝利しようと訴え、戦われました。「師弟不二」を軸とした「異体同心」の勝利のリズムを築いてきてくださいました。だからこそ、学会は大発展できたのです。
「一人立つ師匠」と「一人立つ弟子」の決意の結合こそが重要です。私たち弟子が、師弟不二の心で一人立ち、一致団結して、先生のご指導のままに、師子奮迅の闘争を起こす。そういう覚悟で前進していきたいと思います。

“心の中に常に先生がいるか”
◆林 今の女子学生部員の多くは、池田先生と直接お会いしたことがないメンバーです。そのような中で、「師弟の精神」をどのように伝えていけばよろしいでしょうか。

◇原田 重要な質問です。
今の青年部の皆さん、特に海外の青年のほとんどは、先生と一度もお会いしたことがありません。しかし例えば、昨年に訪問したインドでは、青年部や未来部が「アイ アム シンイチ・ヤマモト!(私は山本伸一だ!)」と叫び、断じて先生の構想を実現するんだと決めて、生き生きと戦いを起こしていました。
インドのメンバーは、各部一体で小説『新・人間革命』を学び、そこに描かれている山本伸一の思いや行動を、自らの生活の中に具現化し、実践を繰り返しています。だからこそ、一人一人の胸中に師の心が脈打ち、師弟を実感できているのだと思います。
先生は「師弟」について、こう語られました。
「師弟とは、弟子の『自覚』の問題です。形式ではない。師匠に何回、会ったとか、そばにいるとか、幹部だとか、それは形式です。たとえ師匠から離れた地にいようとも、直接話したことがなくても、自分が弟子の『自覚』をもって、『師匠の言う通りに実行するのだ』と戦っていれば、それが師弟相対です」

“「新・人間革命」世代”の使命
一人一人が“わが地域の山本伸一”の自覚で前進

◆樺澤 今後の時代を生きる“『新・人間革命』世代”の私たちにとって、非常に大事なご指導だと思います。

◇原田 小説『新・人間革命』第26巻「奮迅」の章には、こうつづられています。
「わが胸中に師匠をいだき、いつも師と共に生きている人は、人生の軌道、幸福の軌道を踏み外すことはありません。その己心の師匠が、自分の臆病や怠惰を戒め、勇気と挑戦を促し、慢心を打ち砕いてくれるからです。人の目はごまかせても、己心の師匠は、じっと一切を見ています」と。
逆の意味ですが、経文には「雖近而不見」という言葉があります。これは、「近いけれども仏を見ることができない」という意味です。師匠の近くにいても、その偉大さが、なかなか理解できない。そうなってはならないという戒めでもあります。
“会ったことがあるかどうか”ではなく“心の中に、常に先生がいるかどうか”――それこそが、最も大切な信心の姿勢なのです。

次代を託す世界の青年部・未来部に贈る――池田先生が中部の三重研修道場を訪れた際、墨痕鮮やかにしたためた書「誓(ちかい)」(1985年10月8日に揮毫)

◆西方 まさに先月の世界青年部総会は、世界の青年が距離や時差を超え、一人一人の心の中にいる池田先生に、弟子の誓いを宣言しゆく新出発の集いとなりました。

◇原田 コロナ禍の苦難にあっても、「大悪をこれば大善きたる」(御書1300ページ)との御聖訓を胸に刻み、励ましの連帯を広げる世界の青年の姿は、全学会の同志に希望を与えてくれました。
先月の随筆で先生は、「誓」について3点、教えてくださっています。
「『誓』は翼なり――誓いを立てる時、最も誇り高き『青春の飛翔』が始まる」
「『誓』は道なり――誓いを結び合う時、最も美しき『人間の連帯』が広がる」
「『誓』は光なり――誓いを果たしゆく時、最も荘厳な『生命の太陽』が未来を照らす」
“広布のため”と心を定めた誓いの人生ほど美しく、幸福なものはありません。
創立100周年、そして末法万年の広宣流布へ、池田門下の弟子が総立ちとなる時がきました。その先頭を走るのが、青年部の皆さんです。
ともどもに、師弟不二の心を燃やし、“わが地域の山本伸一”として同志を励まし、学会を守り、世界広布の新たな勝利史を切り開いていこうではありませんか!
(この項終わり)