Ⅱ部 第21回 2020年08月25日 「大衆とともに」――公明党の結党⑤ |
〈出席者〉西方男子部長、大串女子部長、樺澤学生部長、林女子学生部長 「中道」で平和と繁栄の社会つくる 連立政権の“安定の要” ◆樺澤 常に庶民・大衆の目線に立つ、中道主義の政党である公明党は、1967年(昭和42年)1月29日、結党後初めての衆院選に臨みます。当時の模様は小説『新・人間革命』第11巻「躍進」の章に詳述されていますが、32人の候補者のうち、25人が当選し、大躍進します。 ◇原田 この衆院選を迎えるに当たり、池田先生は新春幹部会(1月6日)の席上、「私には、公明党の創立者として、党の未来像を示し、かつ見守る責任があります。また、学会は党の母体であり、党員、支持者といっても、現在の段階では、ほとんどが学会員です。よって、私が、学会の同志の方々に党の未来像を申し上げることが、最も大事であると考え、少々、申し述べたいと思います」と言われます。 そして、「中道政治で平和と繁栄の新社会」「大衆福祉で豊かな生活」「戦争のない平和な世界」を築くことが、公明党のビジョンであると訴えられたのです。 学会の同志は、大きな期待と希望をもって、支援活動に臨みました。 この時に示された指標は、公明党のみならず、日本の政治が21世紀へ向かって目指すべきものであったと思います。 ◆大串 大勝利を果たした直後、先生が議員に向かって語られた言葉も『新・人間革命』につづられています。 「戦いはこれからです」「絶対に忘れてはならないことは、民衆の幸福のために、権力の魔性と戦い続ける精神です」と。 ◇原田 そうです。特に強調されたのが、次の点です。 「これから先、党として、ある場合には革新政党と手を結ぶこともあろうし、保守政党と協力することもあるかもしれない。野党の立場で与党を正すこともあれば、政権に加わって、改革を推進することもあるかもしれない。あるいは、政策を実現するためには、妥協が必要な場合もあるでしょう。 さまざまな選択はあるが、根本は国民の幸福のためであるということを、絶対に忘れてはならない。 さらに、政権に参画したとしても、徹して権力の魔性とは戦い抜くことです。そうでなければ、公明党の存在意義はなくなってしまう」 今振り返ってみても、すごい慧眼です。だからこそ、公明党の議員は、国民の生命と暮らしを守るため、この原点を命に刻み、戦い抜いてもらいたい。 ネットワークで小さな声を聴く ◆西方 公明党が幾多の烈風を経ながら、自民党の要請を受けて連立政権に参画したのは99年(平成11年)です。 大きなきっかけは97年、アジアの通貨危機に始まり、都市銀行や四大証券の一角の破綻などで、日本が未曽有の金融危機に突入していたことでした。 98年7~10月の国会は、その克服が最大のテーマでした。 公明は野党でしたが、国家・国民の視点から政策判断をして、自民側が修正要求を可能な限り取り入れたことから、破綻前の金融機関に公的資金を投入する「金融早期健全化法」に賛成します。 “ミスター円”と呼ばれた大蔵省財務官の榊原英資氏は、退官後にテレビ番組で、公明の政策対応によって、「日本は救われた」と述べています。 ◇原田 その通りです。公明は、あわや日本経済の底割れという国家的危機を回避させるために動きました。「国民のために何が大事か」という観点からでした。 当時は、そうした「合意形成型政治」を掲げつつも、連立政権入りは考えていませんでした。翌99年に自民党側から強い要請があり、連立に参加していくことになったのです。 ◆西方 99年7月、公明党は臨時の党大会を開き、未曽有の難局を乗り越えるため、「政治の安定が何よりも必要」として、方針を決定。99年10月に正式に連立内閣が成立しました。 ◇原田 政治は現実です。 それまで不安定な政治が長く続き、課題が山積していました。日本の安定のため、そして国民生活を守るための公明党の選択であったと思います。 また、社会のニーズや考え方が多様化していく中で、政治の世界においても、単独政党でなく、複数の政党で政権を担う時代になっていったのです。“その方が、広範な国民のニーズに応え、庶民の声をより政治に反映することができる”と語る識者も多くいます。 ◆樺澤 公明党はまず、「政治腐敗」を防ぐための「政治家改革」に取り組みました。 連立に参加してすぐの2000年1月からは、政治家個人(資金管理団体)への企業・団体献金が禁止になりました。 同年11月には、政治家や秘書らが、あっせん行為(口利き)による見返りを得ることを禁止する「あっせん利得処罰法」が、02年7月には、“官民癒着”の不正行為を厳しく禁止する「官製談合防止法」が、公明党の主導で制定されています。 ◆林 その後も、地方議員と国会議員のネットワークによる「小さな声を聴く力」を発揮し、消費税への軽減税率導入、私立高校授業料の実質無償化をはじめとした教育費の負担軽減など、「国民のための政策」を実現していきます。 ◇原田 公明党は、政治の“安定の要”と評価されるようになっています。 ケンブリッジ大学出版局が刊行する学術誌「日本政治学誌」では、連立政権における公明党の役割について、こう論じられています。 「公明党は、その規模以上の力を発揮して、自民党の重要な安全保障政策を抑制している」「1955年以来、自民党のアイデンティティーや綱領に関わる優先事項とされている事柄について、重要な政策上の譲歩を引き出している」と。 また、一橋大学の中北浩爾教授は、「公明党が存在感を示すことは、日本政治を安定させる上で不可欠」であると述べています。 さらに、「公明党は中道主義を掲げるとともに、党員や地方議員がしっかりしており、創価学会という支持団体がある」「社会に確固たる基盤を持つ中道的な勢力が政治の中心を担う。これこそ、本当に安定的な政党政治だ。まさに公明党的なものではないか。公明党は『大衆とともに』との立党精神と中道主義をさらに追究して、建設的な合意形成を図る勢力であるという自己認識をもっと高めるべきだ」とも語っています。 ![]() 太陽が地球をあまねく照らすように、全ての人の幸福に尽くす公明党の使命は、ますます大きい(2000年11月、池田先生撮影) コロナ対策でも数々の政策実現 ◆林 最近では、新型コロナウイルスの対策として、1人当たり一律10万円の給付の実現や、公明党が提言して実現した「専門家会議の設置」なども高く評価されています。 ◆樺澤 ワクチン・治療薬の分野についても、プロジェクトチームを立ち上げ、対策を一貫してリードしてきました。 ワクチンは、世界で最も実用化へ先行しているとされる、英製薬大手のアストラゼネカ社から1億2000万回分、そして米製薬大手のファイザー社から2回接種で6000万人分を、いずれも開発が成功した場合に供給を受けるということで、基本合意できました。 治療薬についても、重症者向けの抗ウイルス薬レムデシビルが、日本で初めて薬事承認されています。 ◆大串 東京都は今秋、大学病院等の施設を利用して、コロナ専用の病院を2カ所開設する予定です。これも都議会公明党が強力に推進したものです。 ◆西方 中小企業等を守るための持続化給付金の対象を拡大したほか、家賃支援も実現しています。 また、都道府県が医療提供体制の整備に使える「緊急包括支援交付金」を大幅に拡充し、医療関係者から高い評価が寄せられています。 さらには、困窮する学生への支援も推進し、文化芸術関係者への大規模な支援策については、日本が誇る世界一流のアーティストから感謝の声が届けられています。 政治評論家の森田実氏は、公明党の議員について、次のように述べています。 「国民目線に立って物事を考えている。国民と共に悩み、国民と共に考え、国民と共に進むという精神がある。公明党の言葉で言えば『大衆とともに』だ。他党は遠く及ばない」と。 ◇原田 ジャーナリストの田原総一朗氏は、「公明党は昔から金権政治とは無縁の政党だし、なんと言っても議員が庶民目線ですからね。支持者もただ政治を批判するだけではなく、『自分たちが政治を作っていくのだ』という気概をもっている」と語っています。 公明党の結党から半世紀余。 長く日の当たらなかった庶民の一人一人が立ち上がり、連帯すれば、自分たちの声を政治の場に届けることができる。時代を変えることができる――そうして希望と勇気を持てるようになったことは、公明党の輝かしい歴史です。 試練の時代の今、公明党への期待は、ますます高まっています。国民のため、世界と日本の平和と安定のため、さらに働き抜いてもらいたい。 (第Ⅱ部終了) |