Ⅱ部 第9回 2020年06月22日 未来を照らす人間教育の光③ |
〈出席者〉西方男子部長、大串女子部長、樺澤学生部長、林女子学生部長 先生の心にはいつも創価学園生が! 慈愛と期待で真心の励まし ◆西方 今回から、創価学園について、伺いたいと思います。1968年(昭和43年)、創価中学・高校が東京・小平市に開校しました。これが、「創価一貫教育」の第一歩となりました。 ◇原田 池田先生は奥さまと共に、第3代会長に就任される1カ月前の60年4月5日に小平市を訪れ、創価学園の建設用地を視察されています。 前月末から、先生は繰り返し、会長就任の要請を受けていました。そして、視察の9日後の4月14日、ついに就任を受諾されます。その後、一切の広布の指揮を執られながら、学園設立への準備を着々と進めていかれたのです。 創価学園の歴史とは、広宣流布即世界平和のために一人立ち上がり、戦い抜かれた池田先生の、この60年間と、軌を一にしているといえるでしょう。 ◆西方 東京の学園は今年3月、中学・高校50期生が卒業しました。草創期の様子は、小説『新・人間革命』第12巻「栄光」の章でも触れられています。先生は何度も学園を訪問され、生徒との数え切れない金の思い出をつくってくださっています。 ◇原田 こんなこともありました。開校翌年の第2回入学式の日にも先生は学園を訪れ、「この大事な1年間の歩みを記録に残してはどうか」と、校史の発刊を提案されました。すぐに中学、高校の代表メンバーが選抜され、5月11日に行われた第1回の編集会議にも出席してくださったのです。 先生は、若き日に戸田先生の出版社で少年雑誌の編集長をされた経験から、編集の方法や醍醐味を学園生に伝えたかったのでしょう。何度も「分からないことがあれば何でも聞きなさい」と声を掛けてくださいました。まさに実践を通しての人材育成です。 ◆樺澤 7月には、『創価学園 建設の一年』という校史が見事に出来上がりました。 ◇原田 先生は発刊に際し「この『建設の一年』は、単に学園の記録であるばかりではない。諸君ら一人一人の、人生の記録でもあるのだ。そして、未来への無限の可能性を秘めた宝箱なのだ」と寄稿されました。このように、先生は、“手づくり”で学園生一人一人の心に、生涯崩れぬ原点を刻んでいかれたのです。 今年4月の入学式は、コロナ禍による未聞の試練の中、オンラインで行われました。先生は「わが創価学園は、『人類の幸福の鐘』『世界の平和の鐘』を響かせゆく英知の大城です」と学園生に万感の期待を寄せられました。先生の心には、「いつも学園生がいる」のです。 ![]() 卒業式で愛唱歌「負けじ魂ここにあり」を歌う池田先生。東西の学園生の歌声に応え、「5番」に入ると右手を高くあげた(2009年3月16日、東京・小平市の創価学園で) 草創から海外の指導者らが来訪 ◆林 草創期以来、学園には多くの世界の指導者、識者が来訪しています。 ◇原田 そうした伝統を築かれたのも池田先生です。 70年10月17日には、「ヨーロッパ統合の父」であるクーデンホーフ・カレルギー伯爵を学園に迎えました。開校から、3年目のことです。 伯爵は全生徒を前に「私の人生」と題して講演されました。世界的な識者の講演です。学園生にとって、どれほど大きな触発となったことでしょうか。 今、社会や学会の中核として活躍している草創の学園出身者の中にも、この講演を聴いたことが自身の跳躍台になっていると語る方が多くいます。先生は中学生、高校生という若い時から、国際的な視野を持った人材の育成を考えて、具体的な手を打ってこられたのです。 ◆大串 これまでに、5000人を超える海外の識者が東西の学園に来校されました。 ◇原田 フランスの美術史家ルネ・ユイグ氏、ゴルバチョフ元ソ連大統領ご夫妻、モスクワ大学のホフロフ総長、平和学の創始者ガルトゥング博士など、そうそうたる方々です。 先生は学園の創立に際し、ご自身が「学園生の先頭に立って、世界の知性と対話しよう!」と固く誓っておられました。そこには、“私の後に続いて「平和の道」を歩んでいってほしい”との、先生の学園生への熱い思いがあったのだと思います。 ◆林 学園生に対する先生の慈愛と期待に、私も卒業生の一人として、改めて決意を深くします。 ◇原田 先生は、学園のさまざまな式典や行事などに出席し、生徒たちに励ましを送り、期待を寄せてこられました。 高校1期生が卒業する際には、先生は「お祝いに、日本で一番おいしい中華料理をごちそうしてあげよう」と、卒業生の代表を有名なホテルのレストランに招待し、会食されたこともありました。私も同席させていただきましたが、先生は将来、必要なことだからと、テーブルマナーを丁寧に教えてくださいました。会食中も、質問に耳を傾けられるなど、生徒一人一人の人格を尊重し、大切に育んでいることが伝わってきました。 この高校1期生には、現在の創価大学の田代理事長、馬場学長、アメリカ創価大学の羽吹学長もいます。未来を見据えての先生の真心の励ましが、こうして実を結んでいるのです。 ![]() 2017年4月5日、池田先生が東京・創価学園を視察。創立50周年を迎えたキャンパスでシャッターを切った 愛唱歌に魂の加筆「学べ勝ち抜け 世界まで」 ◆樺澤 学園には多くの愛唱歌があります。中でも「負けじ魂ここにあり」は東西の学園生が特に大切にする歌です。 ◇原田 この歌は78年に東京校の生徒が「3番」まで作った歌詞を池田先生が推敲されたものです。さらに、作曲にも携わってくださった先生は「4番」の歌詞を加えられました。以来、学園で歌い継がれてきました。 2009年2月、卒業を目前に控えた東京校の高校3年生が、この歌の合唱を録音し、先生にお届けしました。すると、先生は、3月11日、この歌の「5番」の歌詞を作詞し、贈られたのです。5日後、東西の学園を中継で結んだ卒業式では、出席された先生の前で東西の学園生が大合唱しました。 〽正義の誇りに 胸を張れ 君に託さん この大城を 学べ勝ち抜け 世界まで 負けじ魂 朗らかに 「5番」に入ると先生は右手を高くあげ、節をとりながら、共に歌ってくださいました。東西の学園生が一体となり、偉大なる創立者のもと、誓いを新たにした歴史的な瞬間でした。 ◆樺澤 私も当日、東京・創価高校の1年生としてその場に参加し、先生と共に歌わせていただきました。先生の真心に触れ、胸がいっぱいになったことは一生の原点です。 ◇原田 15年の卒業式でも感動的な出来事がありました。東西の学園を中継でつないで行われた式の終盤にスピーカーから、「みんな、おめでとう! 卒業おめでとう! うれしいよ」との池田先生の声が響きました。先生は、卒業式の様子を見守ってくださっていたのです。そして、先生の呼び掛けで、「負けじ魂ここにあり」の大合唱が始まりました。 歌い終えると、「一緒に歌ったよ。上手だったよ。おめでとう! おめでとう! よかったよ」との先生の声が再び聞こえました。場内は、深い深い感動に包まれました。 先生は、かつて学園生に「私には、毎日欠かさない心弾む日課があります。それは大好きな創価学園の歌を聴くことです。私の生命から、君たち、あなたたち、学園生の歌声が離れることは、一日としてありません」との言葉を贈られています。 ◆大串 17年4月5日、先生は奥さまと共に創価学園を訪問され、50期生の入学を目前に控えるキャンパスを視察し、時計塔や体育館などをカメラに納めてくださいました。 ◇原田 奇しくも、この日は先生がかつて建設用地視察のために訪れてから、ちょうど57年に当たる日でした。 先生はこの時の真情をつづられています。「かつての雑木林には、仰ぎ見る英知の大城が聳え立っている。今や世界の教育界も注目する大発展を、学園首脳と喜び合った。始業式の前日だったが、クラブ活動や新入生の歓迎の準備等に当たる学園生が、はつらつと躍動する息吹がうれしかった」「『教育の勝利』こそが、『人類の永遠の勝利』と叫ばれた牧口先生、戸田先生の会心の笑顔が浮かぶ」 先生がどれほど学園を愛し、学園生の成長を願われているか――とても計り知ることはできません。学園生の皆さんはこの誇りを胸に、人生を歩んでいっていただきたいと思います。 ![]() 創価教育の実践に世界の識者が注目する。東京・創価学園を訪問するウズベキスタン国立大学の一行(2019年10月30日) |